TOPICS

2015/03/12

笠原和夫氏宅の本棚

シナリオ界見聞録

『笠原和夫シナリオ集』を作るとき、笠原先生のお宅に伺った。眼を引いたのは本棚にずらっと並んだ『現代史資料』全巻だった。「東映で現代史ものをやるというんで、買い込んだだけどね、企画が流れちゃって」。『仁義なき戦い』四部作を書かれた二年半後のこと。若輩だった自分は単純にも先生の言葉の続きを「無駄になってしまった」と受け止めていた。それは大きな間違いだった。その後、『二百三高地』『大日本帝国』『226』などを執筆。映画化に至らなかった現代史もの数作もある。先生の本棚で気に留まった本が他にもあった。季刊雑誌『歌舞伎』(その頃、松竹から発行されていた)の創刊号からの全て。そういえば、氏はどこかで「(東映脚本課時代に)歌舞伎の脚本作法を叩き込まれた」といったことを話されていた。