TOPICS

2019/02/27

橋本忍氏邸を初めて訪れた日

シナリオ界見聞録

昨年、100歳で天寿を全うされた橋本忍氏。弊社で『映画「八甲田山」の世界』を刊行するときのこと。氏の邸宅へ初めて伺った日は大雨だった。最寄りの駅からご住所のメモを頼りに歩いてゆくと、先生のお邸は時代劇に出てくるような古風な門構え。潜りから中へ入った。玄関を入ってすぐ右手が先生の書斎だった。先生はカナタイプを打ってらした。いや、すでにワープロを使われていたかもしれない。印象深かったのは篠突く雨の音。この雨は黒澤明監督の映画『羅生門』みたいだな、と先生のデビュー作を思い浮かべたことを覚えている。