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2013/09/02

「抱きしめたい!」の松原敏春氏

シナリオ界見聞録

今秋、フジテレビ系で『抱きしめたい! Forever』がスペシャルドラマとして放送されます。9月10日に記者会見、完成披露試写会が行われるそうです。脚本は龍居由佳里氏。『抱きしめたい!』は、浅野温子、浅野ゆう子、W浅野の共演で1988年にスタートした人気ドラマ。脚本は松原敏春氏。スペシャルの放送で、その報道記事に松原氏の名前が出ているのを見て嬉しくなった。松原氏は2001年に53歳で亡くなった。亡くなった脚本家の名は、どんなヒットドラマを書いていても忘れ去られてしまう。それは脚本専門誌に携わる私としてはとても残念だ。先月、東京の新橋演舞場で『さくら橋』という芝居が藤山直美主演で上演された。その原作者として松原氏の名前が表記されている。松原氏がかつて書いた森光子主演の芝居が元になっている。その芝居かどうかは分らないが、私は松原氏脚本、森光子主演の芝居を芸術座(現・シアタークリエ)に観に行ったことがある。(松原氏に観に行きます!と宣言したので)。数年前に劇団東京ボードビルショー(氏もその一員だった)が松原氏の没後何年と銘打って追悼公演をした。作家の追悼公演などめったにない、印象的なことだった。氏の作品は、その人柄そのままハートウォーミング。いわゆるトレンディドラマも人情ドラマも、人間描写の根本に変わりはない。慶応大学の落研出身で、永六輔氏の発案から生まれたコント作家集団ニコニコ堂の出身。バラエティ作家からドラマ作家に。「シリアスなもの書こうとしてもどうしても笑いが入ってきちゃうんですよ」と言っていた松原氏、実にサービス精神に溢れた作家でした。執筆作品114篇。(この稿未完)