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2014/07/10

猪俣勝人氏とシナリオ文芸

シナリオ界見聞録

シナリオ作家協会の事務局に就職してシナリオの世界に関わりを持った時、初めて言葉を交わしたのが当時協同組合の理事だった猪俣勝人氏だった。猪俣氏がしばしば言った言葉は「シナリオはオリジナル(でなくては)」。氏はシナリオ文芸を標榜されていた。シナリオは文芸作品であるという主張で、当時はまだシナリオ文学とかレーゼ・シナリオ(読みものとしてのシナリオ)という言葉があった。気骨ある方で、晩年は日大芸術学部の教授をされ、『日本映画名作全史』のシリーズを教養文庫(社会思想社)から出され、それは今も大変貴重な資料となっている。脚本家としての晩年、『子連れ狼』(萬屋錦之介・主演)のテレビシリーズで活躍された。私が仕事上の公的文書をまともに書けないので、氏から「親が嘆くよ!」と呆れられたことをシッカリ覚えている。